イランの原子力開発関係で,IAEAの事務局長の声明と,オバマ大統領のロシア大統領への書簡という大きな二つのニュースが流れている。
イランの原子力開発は,平和利用を目的としているが,いつでも軍事転用が出来るので,アメリカを初めとした先進国は懸念を表明してきた.しかし,イランは独立国家であり,原子力開発をする権利を有するという立場を貫いている。
全体としてみるならば,私はイランを支持している。
その国にはその国の主権があり,自由に技術開発をする権利を有し,かつその範囲は限定されない。 強いて言うならば,アメリカ,ヨーロッパ,日本などの先進国がこれまで行ってきた技術開発の範囲なら,制限をする必然性はない.
イランの原子力開発について先進国が懸念しているのは,最終的に「自分たちと同じことをするのではないか」と言うことである.自分たちがしたこと・・・それは人類を数10回も殺戮できる原子兵器を大量に作ったことである.
核弾道は1発でも使えば人類に対する大きな罪になるが,アメリカとロシアが保有する核弾道は2万5500発と言われる。 まさに狂気の沙汰だ。
「後から来る人は,同じことをしてはいけない」という論理は単なるエゴである.NHKが自分はCO2を80%も増やしていて,視聴者には削減を呼び掛けるのと同じだ。 人間のするべきことではない。
イランの核開発を止めるもっとも有効な手段は,アメリカとロシアが核兵器を段階的に廃棄することだ.
オバマ大統領の書簡は,ヨーロッパで計画しているミサイル防衛網計画を少し後退させるから,ロシアからイランへ経済的な圧力をかけてくれというもので,力のある国が,これからの国を圧迫する図式としては変わりはない。
IAEAも先進国が牛耳っているから,自分たちが持っている核兵器についてはコメントしていない。
日本は被爆国だから発言権がある.原子兵器を禁止するのは国際的枠組みが必要で,オバマ大統領がロシアの大統領と話をつけてイランに圧力をかけるような話ではないし,それに対して日本は日本としての平和外交を強く進めるべきである。
私たちの背後には無念を背負ってその人生を終わった人たちがいるのだ.
(平成21年3月4日 執筆)