中川財務大臣がローマで行われた財務相・中央銀行総裁会議の後の記者会見で泥酔状態にあり,世界に恥をさらしたが,その任命にあたった麻生総理大臣は2回にわたる重要政策の虚言を行った.
第一回は,「私は郵政民営化に反対だった」という国会での発言で,郵政民営化の時の総務大臣としては「不適切な発言」ではなく,明確な「虚言」である.
第二回は,「私が郵政民営化の担当大臣ではなかった」という発言で,これもすでに「私は郵政民営化の担当だった.それを忘れないように」と公式の場で発言しているから,虚言である。
この二つの発言は,勘違いとか不適切という表現では適切ではない.首相でなくてもこのぐらい事実と異なる発言は取り消すか,あるいは陳謝が必要である。そして普通ならこのぐらい重度の虚言の場合,首相を辞任しなければならない.
麻生首相の場合,字を読み間違えるなどが指摘されているが,この二つの発言は国政の中心的な政策に関するものであり,現在の衆議院で自民党が3分の2を確保している理由でもある.
その次に「国民は郵政民営化の内容をよく知らなかった」という発言は,虚言ではないが,民主主義を信用していない発言として,これも辞任に値する。
選挙というのは,その内容をどの程度,国民が知っているかどうかは別にして,よく考えて投票したと考えるのが民主主義である。
そのために選挙の前には国民が十分に判断できるように演説があり,今ではテレビや新聞などの報道もある.つまり主権が国民にあるのだから,それを当選した人が論評するのは適当ではない。
(論評)
私は麻生首相の政策にはそれほど異議はなかったし,むしろマスメディアがつまらないことの揚げ足を取っていると思っていたが,このように根幹にかかわることで虚言があり,民主主義をないがしろにするなら,支持はできない.
でも,安倍さんと言い,福田さんと言い,辞任の理由もはっ切り分からないまま1年で政権を放棄した.安倍さんは病気と言うけれど,首相をお辞めになった後,病院で長い間,治療を受けている様子もない。
一国の総理大臣だから,マスメディアもしっかりどういう病気なのか伝えないと,その後の安倍さんの活動への判断も出来ない.大切な総理大臣の職を放棄するのだから,かなり詳細に病気を説明する必要がある.
総理大臣でなくても会社の課長クラスでも病気を説明しないで職務を放棄することは難しい。
福田総理大臣はさらに分けが分からない.職務を放棄する理由が不明なのである。
このようなことが続くのは「自民党が老化した」というのではすまない.自民党は政権政党だから,公的な責任がある.自民党のための自民党ではないからだ.
私は自民党の「透明なところ」が好きだ。他の政党より内部の状態が国民から見える。政党がもっとも大切なことは「透明性」だから,これは自民党のとてもよいところで,国民の政党と言える。
政党によっては何が内部で行われているのか分からない政党もある.そんな政党はいくら政策が良くても民主主義というものに悖るから,支持するわけにはいかない.その点で,現在の内閣の醜態は見ていられない.
選挙とは関係なく自民党は一度,解体したらどうだろうか?
(平成21年2月16日 執筆)