世界の一部がテロを批判している.そんなニュースを聞くと,私は中学校の頃,フランス革命を学んで感激したことを思い出す.

なぜ,フランス革命はバスティーユ監獄の襲撃という「テロ」で始まり,ギロチンという「テロ」で終わったのだろうか?それは,それまでの体制・・・ルイ王朝を倒すには暴力以外には方法が無いからだ.

民衆が王宮に行って「ルイさん,あなたは王様を止めてください」と言っても止めず,王朝を続ける理屈を述べて,言いに行った人を逮捕するか,あるいは迫害を与えるからである.

歴史の専門家,日本の知識人のほとんどはフランス革命を支持している.その理由は「武力を使って多くの人を殺したが,そうでなければ自由は得られなかった」という判断である.

アメリカはイラクにウソの理由を構えて侵攻した.ブッシュ大統領もそれを認めているのに,イラクのフセイン大統領は処刑され,ブッシュは名誉を保って引退しようとしている.

暴力以外に,靴を投げる以外にアメリカが世界から引くことは可能だろうか?

イラクの新聞記者がブッシュに靴を投げた.一刻も速く,あの記者が英雄となり,ブッシュが逮捕される日を望みたい.それは「アメリカが世界を支配すること」が正しいとは私は思わないし,それをアメリカに言いに行っても変えないだろうからである.

暴力をふるってはいけないという前に,やることがある.

「アメリカは軍事力が強いので他国を侵略して良い」,「男性が力が強いのだから女性をどうしてもよい」,「社長という権力があれば,自分の給料を減らさずに従業員を首にしてもよい」,「NHKは受信料を取っているのだから批判する芸能人は干して良い」というのは平等でも自由でもない.

もし,そうならアメリカも,男性も,社長も,NHKもルイ王朝の王様と変わりない.革命(テロ)は許され,王様はギロチンに行く.それが正義となる.

「暴力は許されない」,それは間違いないが,それには前提がある.白人は約200年にわたって有色人種を支配し,殺戮し,暴行し,財産を奪った.そして,今でも圧迫し,それを日本の知識人やNHKは支持している.同類は同類を指示し,貴族は貴族の利権を守る.

今日もアフガニスタンの革命(テロ)をNHKは批判していた.それ以外の放送をできないわけではない.ブッシュに靴を投げた記者の背景(アメリカが不当な理由で暴力をふるって,イラクで何人を殺したのか)を放送することはできる.

暴力のない社会を作るためには,力で暴力を押さえるのではなく(ルイ王朝が軍隊で民衆を殺すのではなく),ルイ16世が引退する(アメリカの撤退,男性の暴行禁止,社長の首切りルール,NHKを無くすこと)ことを支持しなければならない.

(平成201218日 執筆)