ゴールドシュミットという人は資源学大御所で、このぐらい大御所になると何かを整理しても本質を鋭く突いているものだ。

 

 彼の整理の中でも飛び抜けて有名なものに下の図がある。簡単な図だが、ズバリ、本質がわかる。

 

 ゴールドシュミット.jpg

 

 私たち人間が使う資源を「枯渇寿命」で分類すると、3つのグループに分かれるという。一つが銅の仲間、次に鉄の仲間、そして最後に石の仲間である。

 

 地球ができるとき、さまざまな理由・・・それはおいおい説明していくが・・・で人間が手の届く地表に多いものと少ないものがある。それをクラーク数という数値で整理する。

 

 銅の仲間を彼は「親銅元素」と呼んだ。クラーク数の小さい方から金(Au)、セレン(Se)、銀(Ag)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)などだが、もともと量が少ないのに(クラーク数が小さい)、人間が好んで使う(年間生産量が大きい)。

 

 金や銀は量が少なくても使いたいのは判るけれど、後は水銀、カドミウム、鉛とあまり環境によいような響きのものではない。実は人間は「少ないものは毒でも使いたい」と言うことらしい。

 

 かくして、資源が枯渇するということを少し細かく言うと、「親銅元素が無くなる」ということだ。そしてゴールドシュミットは、「親銅元素が30年で無くなるとすると、親鉄元素は1000年、親石元素は3万年」と断定しているのだ。

 

 30年というと「資源枯渇」という感じがするが、1000年では「枯渇しない」としてよい。つまり、枯渇するのは金、銀、銅のように貴重なものと、水銀、カドミウム、鉛などの「嫌われ者」であることがわかる。

 

 一体、みんなが「資源が枯渇するから節約しよう」というのは何を言っているのだろうか?

 

 (平成20215日執筆)