今から30年ほど前から少しずつ温暖化が進んでいるが、その原因のほとんどが人間が出している二酸化炭素だという。
人間は何もないところから何かを生み出すことはできないから、二酸化炭素を出しているといっても、それは「石油を燃やすから」である。だから石油が少なくなると二酸化炭素の出方も減る。
石油はあと30年ぐらいが比較的、自由に使える時期で、その後は石炭などがあるけれど、自由には使えなくなるから今よりずっと二酸化炭素を出す量は減るだろう。だから、「温暖化は30年」として、日本は良くなるのか、悪くなるのか」を考えたい。
今回は「雪下ろし」と「除雪」。
つい最近、平成15年12月は豪雪だった。もうすでに温暖化しているはずだが、1℃ぐらいだからあまり影響がでないのだろう。
当時の新聞記事は次のように伝えている。
「昨年12月以降の記録的な大雪で全国で計57人が死亡し、約760人が重軽傷を負った。死者は新潟11人、福井10人、秋田6人などで、除雪や雪下ろし中の転落事故が多い。
この事態を受けて首相は、除雪作業のための自衛隊派遣など総合的な対策を検討するよう官房長官らに指示した。日本海側では7日から8日にかけて再び大雪の恐れが出ている。」
「富山市の無職高野保治さん(82)は午後2時20分ごろ、雪を下ろしていた自宅車庫の屋根から落ちて死亡。新潟県南魚沼市では午後8時半ごろ、無職木村昭四郎さん(76)が自宅脇の用水路で死亡しているのが見つかった。
午後9時ごろには、自宅周辺で除雪中の新潟県阿賀町、無職渡部康次さん(76)が、がけ下に転落して死亡しているのが見つかった。」
無惨である。お年を召して長い間、社会に貢献してきた方が雪下ろしで亡くなっていく。お子さんは遠く都会に出ていて、雪下ろしに手を貸せないのだろう。貢献した方だ、できれば天寿を全うして欲しかった。
暖かく、雪が少なければとても楽だ。温暖化してスキーができなくなると心配する向きもあるし、確かにスキーを楽しむのも大切だが、そこに生活する人にとってみれば、スキーで遊ぶことより生命の危険の方が優先度が高いだろう。
札幌市は平成16年の4月に除雪費用の変化をまとめている。市役所の資料から除雪費の変化を見てみよう。
グラフで見て判るように札幌市だけで年間100億円を超える除雪費を出している。そして除雪費用を抑えようとすると、かえって交通渋滞を招くというジレンマに見舞われている。
日本がもう少し暖かくなり、雪が少なくなれば北国の人は本当に助かるだろう。
一年の平均気温という点では、札幌が8.5℃、仙台12℃、東京16℃、鹿児島18℃、那覇23℃だ。
札幌が仙台ぐらいになっても札幌の人は少し寒いと言われるかも知れないが、それで我慢してもらうとすると、4℃程度だから、札幌12℃、仙台16℃、東京20℃、鹿児島22℃となる。沖縄は海洋性だから台北23℃とあまり変わらないだろう。
もう一つは、多くの東京の人が沖縄に移住している。日本全体では毎年、沖縄の温暖な気候にあこがれて本土から3万人が移住する。東京と沖縄では7℃ちがうから、日本人は23℃ぐらいが一番良いのかも知れない。そうするとあと温暖化は7℃アップが期待されるということになる。
それから見るとあと30年で1℃ぐらいしか上がらないから、もっともっと温暖化してくれないと困るという結論が導かれる。温暖化は7℃が目標だ!頑張って温暖化して7℃を達成しよう。チーム・プラス7℃だ。
でも、それもおかしな話だ。平均気温が7℃あがるのと、東京が沖縄の気温になるのと、何が違うのか?その基本的なところがわかっていない。感覚的には7℃はこわい感じがするが、それでは科学ではない。
その点では「世界の平均気温が何℃あがるから、怖いとか怖くない」という表現自体が間違っているのだろう。
まずは1℃ぐらいを考えて、温暖化というのは良いことなのか、悪いことなのかをはっきりしたいものである。
「温暖化してくれないと困る」などと言うとNHKやテレビ朝日からお叱りを受けそうだが、寒い地方に住んでいる人は、それは温かい方が良い。
もっとも石油があふれるほどあり、さらにお金があればセントラルヒーティングでがんがん、暖房すればよいし、市の予算をふんだんに使って除雪をやればよいが、そんなに恵まれた家庭は少ない。そんなことができるのは、一部の人だろう。環境が「お金持ちの遊戯」になってはいけない。
また、自分ができないことを人に強制するのも品がないようにおもう。意見を持つのは良いことだが、自分が自動車に乗り、冷房と暖房をつけているなら、口に出して他人に「節約しなさい」とは言わない方が良い。そっとすみの方にいて欲しい。
雪下ろしで屋根から滑り落ち、あえない最期を遂げた人、寒さに震え吹雪の中を病院にも行けない人・・・多くの人が温暖化で助かるだろう。確かにせめて1℃ぐらいは気温が上がって欲しい。
二酸化炭素を出すのは良いことかもしれない?!
(平成20年1月30日執筆)