現代の日本に生きていて「年金が無い」というと、老後が非常に不安だ。不安と言うより仕事ができなくなったら飢え死ぬのではないか?と思うほど不安に駆られる。

 

 収入はない。家は借りなければならない。病気もするだろう。いったいどうしたら良いのか?とお先真っ暗になる。でも、日本に「年金」というものができたのはそれほど昔ではない。

 

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 年金には厚生年金や国民年金などがあるが、上の表からもわかるように、ザッと言って日本で「年金制度」というのができたのは1960年と言ってよいだろう。1960年というと今から約50年前である。

 

 歴史的に日本という国ができたのは今から1500年ほど前、平安時代がおよそ1200年ほど前、そして江戸時代は400年ほど前。明治維新が150年前だ。日本人は年金がない時代を長く過ごし、やっと最近になって「年金」ができた。

 

 それでは年金がない時代、日本人は老後をどうして過ごしていたのだろうか?

 

 第一に「老後」というもの、そのものが無かった。

 

 現在の日本人の平均寿命は約80才である。男性の寿命は少し短いが、男女を特に区別しなければ、80才と言ってよいだろう。ところが、今から90年前の日本人の平均寿命は43才だった。

 

 もちろん、人生50年というぐらいだから、50才まで生きる人もいたが、平均は43才だ。そして長寿の人も、50才を過ぎると人生をあきらめる。50才で引退するとあとは廃人のように生活して死ぬ人も多かったと言われる。

 

 いずれにしても平均寿命が43才では年金も発達しない。

 

 第二に「家の制度、長屋の助け合い」があったからである。

 

 江戸時代に「江戸っ子は宵越しの金は持たない」と言った。若干、強がりもあるが、事実でもある。その日暮らしが基本だから、よけいなお金は持っていない。では、病気や老人になったらどうするのか?

 

 まずは家や長屋の仲間が助ける。そして運の悪いときは死ぬ。そう決まっていれば人間は死ぬのもそれほど怖くはないし、日常的にそういう環境で生活していれば「自分だけなんで・・・」と悩むことはない。人間の幸福感というのは相対的なものだ。

 

 現代の日本のように年金がなければ老後が不安だというのも辛いが、かといって「昔に戻りますか」と聞かれると二の足を踏む。43才で死ななければならないし、病気にでもなったら家族に世話をかける。家族も自分が生きるので精一杯なのだから一家は悲惨な状態になる。

 

 それなら、面倒だが若いうちから一所懸命、働いて健康保険をかけ、生命保険に入り、年金の準備をしておいた方が良いということになる。仕方がない。

 

 それが1960年から日本に年金制度ができた理由である。でもこのホームページでは「年金は払わない方が良い」という結論になる。なかなか難しいのだ。

 

つづく