― 容器包装リサイクル法 ―
ペットボトルなどの容器や包装の再利用を定めた容器包装リサイクル法(通称:「容リ法」と呼ばれる)の見直しが行われている。リサイクルを始めたものの、ゴミから分別した容器や包装の回収に自治体は年間3000億円もの税金を使っている。
これを何とかしようと一部を業者に負担させようということで環境省と経済産業省が動いている。いったい何をしようとしているのだろうか?
ペットボトルは一度使っても素人目には新品に見える。それを使い捨てするのだから、いかにももったいない。だからもう一度、使おうということになった。でも、ペットボトルのようなプラスチック容器は新品同様に見えても2度と再び使えないのである。
その理由は簡単だ。
1) 材料は一度使えば劣化する。劣化するから捨てる。
2) 軽いものがあちこちに散らばったものは資源のようで資源ではない。
という2つが原因している。
ペットボトルには飲料を詰める。飲料は水だけではない。その中にカルボン酸や糖類などがあり、それがペットボトルの壁に付く。だから良く洗浄しなければならないが、ペットボトル自身が溶剤に溶けるので、水と洗剤を使って良く落とさなければならない。
飲料の種類によってはペットボトルと反応するので、その場合は洗浄しても使えない。ボトルの洗浄はなかなかやっかいで、ビール瓶のようなガラス瓶でもよく落とそうと思うと、コバルト洗浄剤のような特殊なものを使う。この場合はコバルトによる障害が出る。
第二の理由はさらにハッキリしている。石油が資源として有用なのはそれ自体が持つエネルギーが大きく、「油田」というところに集中しているからだ。石油がいかに貴重でも「分散」していたら資源ではない。
もし日本国民がペットボトルで飲料を飲む時にペットボトルを製造する工場で詰めて、その場で飲めば再利用できるが、製造会社から運搬し、飲料会社で飲料を詰め、卸からコンビニエンスストアーなどに出てから消費者が買う。広く分散するので、それを回収することはできない。
ペットボトル一本で30グラム程度のプラスチックを使っており、2003年度は25万トン程度が回収されている。ペットボトルの原料になるポリテレフタル酸エステルはキログラムあたり300円程度だから、新品の原料費は750億円になる。
容器包装リサイクルはペットボトルだけが対象ではないが、新品のペットを使っても750億円(それしか石油を使わないという意味で、お金に注目しているのではない。)しかかからないのに、自治体が容器包装リサイクルで負担しているだけで3000億円もかかっている。このほかに個人も水道代をかけ、運搬し、販売する側も分別回収などを分担している。
しかも、(これが一番、重要だが)、回収したものはリサイクルされていない。容器包装リサイクル法というのは回収したものを原料として使い、ゴミを減らし、資源を節約するための法律だから、もともと現在の経産省や自治体のやっていることは法律違反なのである。
回収されたペットボトルが再利用されていないことは明らかである。それをリサイクルと呼称するのは詐欺の一種である。元来、法律を守るべき公務員で構成されている国や自治体が法律違反を承知でやって、それを隠すために詐欺まがいの言動を取ってはいけない。
一刻も早く、「リサイクルしていないリサイクル」「リサイクルするものより多くの資源を使うリサイクル」は止めなければならない。それで、お役人の首が少し飛び、推進した先生方の名誉が失われるだろうが、それは仕方がない。国民が大切だから。
現在の自治体が進めているリサイクルは「法律違反」なのである。国家公務員がこれほど長く法律違反をしてはいけない。容器包装リサイクル法の見直しではなく、現在のようなリサイクルの行為を止める必要があるのだ。
税金は無駄に流れ、国民は意味のない分別をさせられ、ゴミは増え、資源は無駄になり、さらに公務員は法律違反をする。誰のメンツでリサイクルを続けているのだろうか?(天下り・・・??)
おわり