―株式会社は株式を持っていなかった!―
最近、世の中が急激に変化するので、報道を見ているとビックリすることが多い。軽い話を3回ばかりアップする。今回はその(2)。
私はこの人のことを「ホリエモン」と呼ぶのをためらっていた。マスコミは面白おかしく報道するけれど、私にはどう見ても立派な人に見えたからである。でも先日、広島6区の選挙報道を見ていたら、彼自身の選挙カーに「ホリエモン」と書いてあったので、使うことにした。本人が使っているのだから侮辱することにはならないだろう。
ライブドアの堀江社長、つまりホリエモンがニッポン放送の株を買い占めると言うニュースが報道され、多くのことにビックリした。
まず驚いたのはフジテレビというのは大きなテレビ局で、フジサンケイグループというこれも巨大な集団の中核と思っていたら、フジテレビの親会社がニッポン放送だったということに驚いた。
そのうち、ニッポン放送とフジテレビのトップがテレビに映るようになってさらに驚いた。子会社のフジテレビのトップの方が、親会社のニッポン放送のトップより何となく威張って見える。今の時代のことだから、子供が親より威張っているのもそれほど不思議ではないが、私にとっては違和感があった。
そして、裁判になった。ニッポン放送の株をライブドアが買ったのが問題だと言う。「ニッポン放送をホリエモンの手に渡すな」という運動もあると報道されていた。ますます驚き、判らなくなった。
ニッポン放送は株式会社ではない!?親会社の株をもっても子会社は独立!?公開された株を買ってはいけない!?証券会社は反社会的??
私は疑問に包まれた。日本には株式会社は無かったらしい。
会社が株を上場するということは、売っている株を全部誰かが買う危険性を覚悟の上で、市場から資金を得る方法である。特別な場合を別にして「良いことずくめ」ということがあるはずもない。株を買ってください、でもお金だけが欲しいので経営権は渡しません・・・などと虫の良い話はあるだろうか?それならそう言う制限を付けておけば良いが、その場合は株価は低くなるだろう。
そんなことは素人の私にも判るのに、なにか問題になっていた。
「我々が苦労して築き上げた・・・」という会社のコメントも理解ができなかった。確かにそれはそうだろうが、株式会社の経営権は商法で決まっていて、株主のものであり、経営者は株主から経営を委託されているに過ぎない。だから株式会社は株主が会社の主であり、経営者は普段は威張っていて高級料亭で食べているが、それは株主の許可の範囲内である。
おそらく毎日の生活の中で自分が株主になるお金を持っていないことを忘れたのだろう。
次にニッポン放送の社員が「報道機関は特別だ」とホリエモンの株の取得に不満だと言う報道があった。確かに報道機関は特別で普通の会社ではない。それは正確な報道をするためにはお金にまつわる利害関係とは独立であることが必要である。でも現状はどうだろうか?フジサンケイグループも大丈夫か??
さらに、「株を時間外に買ったから不当だ」との話も出てきた。私は最初はホリエモンが汚い手を使ったのかと思った。なぜなら公的な機関が間違いを言うとは思っていなかったからである。しかし、時間外に株を買うことは認められていることを知った。
最後に、「ホリエモンのように世の中が万事、お金で片づくというような風潮はけしからん」と言っている人たちが現れた。これも私はビックリした。最近、コンプライアンスという難しい言葉があるが、要は「みんなで決めたことはみんなで守り、信頼を得よう」という趣旨である。
株式会社のしくみ、株の買い方からなにからホリエモンが、これまでみんなで決めたことに違反しているなら文句をつけても良いだろうし、法に違反しているなら逮捕しても良いと思う。でも、決めたとおりにした人を非難する方がおかしい。
そしてホリエモンは広島6区の選挙に出馬した。そこでテレビ局が「堀江さんは何でもお金と皆さんが言っていますが・・・」と聞いたら、彼が「売られている物を買ってはいけないのですか?」と聞き返し、記者は絶句していた。社会の方が規則を守らず、“まあまあなあなあ”でやっているのではないか。泥棒が正直者を非難しているように感じた。
ホリエモンが好きな人も嫌いな人もいるだろう。でもこれまでの社会に暗いところがあり、これからも暗くなるとするとそれは「闇取引」「根回し」「コネ」「裏口」「誰かの子供」「偉い人の口利き」・・・などが残っているからであり、公明正大なら、破れて悔し涙に暮れることはあっても暗くなることはない。
ホリエモンは偉い。彼の心の中を詮索する必要も無い。彼の行動はいつも正々堂々としており、そして長い間、日本の株式会社が一部の人の持ち物だったのを、公的なものにしてくれた。第一、株主に株の配当を無配にしていて毎日のように銀座のママを相手に飲んでいる社長がいるのだから。
おわり