- 藍ちゃんも台無し・・・放送法第3条 -

 ミシェル・ウィーといえば、アメリカ女子プロゴルフのスター選手で超美人。身長183センチでお父さんがハワイ大学の教授。どこから見ても幸運の星だ。2005年にプロに転向してまだ勝ち星が無く、このところ男子ゴルフに挑戦して予選落ちばかりしているが、人気は高い。

 彼女のゴルフを見ていると、背は高いしプロポーションは良いし、大自然の中でまことに映える存在である。男子ゴルフに挑戦して予選落ちばかりしていても、その人気は一向に衰えない。それが女子ゴルフの魅力というものである。

 アメリカにミシェル・ウィーがいるとすれば、日本には宮里藍や横峰さくらがいる。それぞれ個性もあるが、真に初々しく彼女たちのプレーを見るのは楽しみである。

 男子のゴルフで尾崎将司などが活躍していた頃はゴルフも人気があったが、バブルが崩壊したりスター選手が少なくなったりして、一時ゴルフの人気は低迷していたが、最近では藍ちゃんやさくらちゃんのおかげで、また人気を取り戻してきた。

 ところがそんなことも台無しにするようなマスコミの悪ふざけがあった。

 2006年の11月4日、日本の女子ゴルフのミズノクラシックの時だった。トップを走っていたのは、カリー・ウェブという外国人選手と上田桃子選手。二人とも8アンダーで首位に並んでいた。そして、その日の最終ホールで上田桃子選手がバーディーをとって9アンダーになった。

 上田桃子選手が9アンダーになってしばらくして、宮里藍選手が16番ホールでバーディーを取り7アンダーから8アンダーになった。この時点で、一位が上田で9アンダー、二位にウェブと藍ちゃんが8アンダーで続く状態だった。

 ところが、なんと!!
中継放送をしていた毎日放送がテレビ画面のスコア表で藍ちゃんが首位に立ったと放送したのだ??

 これはミスではない。毎日新聞の番組プロデューサーは藍ちゃんが首位に立ったことが無いことを知っていながらスコア表を細工した。

 追求されたプロデューサーは「エンターテイメント性を重視して、宮里藍選手という人気選手が1位になったことを放映する方が、視聴者も喜ぶ」と言った?!

 藍ちゃんを冒涜するにもほどがある!!せっかく、藍ちゃんが我慢して、苦労してゴルフをやっているのにスコアを誤魔化すとは!ウィーやさくらちゃん、そして藍ちゃんが魅力的なのは、可愛い彼女たちがゴルフのコースに挑戦し、ある時は素晴らしいショットをして笑顔を見せ、ある時には優勝目前にして大きく崩れる・・・そんな真摯な緊張感の中だから彼女たちが美しいのだ。

 もし、藍ちゃんのスコアが誤魔化されたものなら藍ちゃんのプレーも藍ちゃん自身も魅力的ではない。

 私も藍ちゃんが好きだ。なぜ好きかと聞かれたら、彼女のあっさりしたところ、勝負根性、爽やかさであり、いずれも「スコアの偽造」とは正反対だ。スポーツのスコアに手をかけるということは、永久追放になるぐらいのものだから、毎日放送は自主的に一年間程度はスポーツの放送を中止した方が良いだろう。

 それとも毎日放送がこれからスポーツ放送を続けるなら、スコア表を出す度に「これは偽造されていません」と断った方が良い。そうすれば自分たちが何をしたかが判る。

 ところで、この放送はその後も問題になり、12月8日に総務省が毎日放送を厳重注意した。その根拠が放送法第3条違反なのだ。

 第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当つては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 実に奇妙な法律だ。日本でこれを守っているマスコミはあるのだろうか?1と2はやや気にしている感じだが、3は藍ちゃんの例があるからダメだ。総務省に叱られる前に、放送局は視聴者に謝って1年間の自粛を宣言しなければならない。

 また私の分野だが、放送法第3条の2の4(対立している意見の報道は両方から)という条項に対してリサイクルや地球温暖化などについては報道が著しく偏っている。

 でも、私は藍ちゃんが可愛そうだ。これからずっと、彼女のスコアはいつも粉飾されているのではないかとテレビを見ている人は思うのだから。

 おわり