【ディーゼル騒動】
日本では大切な「環境」が、政治の道具、企業の売り上げを上げる小道具になっている。石原東京都知事が怪しげな小瓶を出してきて「ディーゼル車は悪魔だ!」と叫ぶと、まるで中世ヨーロッパのようにマスコミが「魔女だ、魔女だ!」と騒ぎ出す。
その結果、ヨーロッパは「環境の改善のためにガソリン車からディーゼルへ転換し、約半分がディーゼル」となっているのに対して、日本は乗用車の0.1%がディーゼルである。世界的には日本が「まったく環境に関心がなく、ガソリン車の加速だけを重視している」と見える。
最近、良心的な新聞が「ディーゼルに新しい技術ができたので、復活か」と報道した。でも、ヨーロッパは最近の技術でディーゼルを使っているのではない。もともとそれほどガソリンと違わないからである。
戦争の前、新聞がこぞって戦争を賛美した時と似ている。
【リサイクル騒動】
リサイクルが始まり、「プラスチックはリサイクルするべきだ!」と女性の国会議員が叫ぶ。科学的根拠はない。そう言うと票になり自分が偉くなれるというだけである。日本では「プラスチックのリサイクルは善」ということになっている。
ヨーロッパでは「環境を改善するために」、自動車のガソリンタンクの90%以上がプラスチックで造られており、使用後は焼却する。もちろん「環境に優しいベンツ」もそうである。日本ではマスコミが騒ぐのでガソリンタンクをプラスチックにできない。だから10%にも満たない。
ある大手の自動車会社の部長さんが嘆いていた。
「本当はプラスチックのガソリンタンクの方が燃費も良くなるし環境に良いのですが、日本ではマスコミに理不尽に叩かれるからやれないのです」
まるでマスコミ帝国だ。
最近、日本ではリサイクルしたプラスチックを燃やしても良いことになった。もともとそれ以外の方法は科学的に無いのだから当然ではあるが、ここでもう一つ細工をした。それは「焼却するのをリサイクルと呼ぶ」として、日本だけの英語「サーマル・リサイクル」という言葉を創造した。これならマスコミも良いという。
かくして分別し、リサイクルするといって集めたプラスチックを燃やし、「燃やしているがリサイクル」という訳のわからない事になっている。
【京都議定書騒動】
次は「地球温暖化」である。ロシアのプーチン大統領が京都議定書にサイン(批准)した次の朝、日本の新聞は「プーチン大統領も環境に目覚めた」と書いた。欧米の新聞は「プーチンは日本から2兆円取れる。ロシアの国際戦略」と位置づけた。
日本は京都議定書で6%削減を約束した。1990年を基準とするから実質20%程度の削減だ。それに対してロシアは1990年に共産国だったので、京都議定書を締結するということは38%もの増加枠を取ったことになる。プーチン大統領は二酸化炭素の増加を批准したのだ。
日本の新聞は1985年からずっと「地球が温暖化すると、北極や南極の氷が溶けて海水面が上がる」と報道し続けた。その間、国連の研究機関であるIPCC(地球温暖化に関する政府間パネル)は「北極と南極の氷による影響は無いか、あるいは海水面が下がる」と報告し続けている。
環境省は環境白書で新聞に追従した。白書はIPCCを見ないで新聞記事を見て書いている。でも、環境省を責められないかも知れない。なぜなら、現代の日本では、それ以外に生きる余地が無いからである。事実を報道するはずのマスコミが、事実を伝える人をバッシングするのである。
【ダイオキシン騒動】
誰かが架空の「ダイオキシン猛毒説」を流し、マスコミが追従した。家庭用小型焼却炉が廃止され、多くの税金を補助していた自治体は泣いた。それだけではない。高性能焼却炉が高い値段で飛ぶように売れ、企業は更に儲けた。
すでにダイオキシンの毒性が低いことが学問的にもよくわかっている。またダイオキシンの規制がリオデジャネイロの予防原則に適応した物であることも判っている。予防原則とは「科学的根拠が無くても危ないと思うモノは規制する」ということで、すでに研究結果の出ているダイオキシンはその範囲にはない。い。
私はヨーロッパがあまり好きではない。長い間、有色人種の国を植民地にしてきたからだ。だからヨーロッパに学ばなければならないのが辛い。ディーゼルにしても、ガソリンタンクにしてもヨーロッパの判断は科学的な根拠に基づき、武士である。
それに対して、日本はビクビクしている。何か言うとマスコミに叩かれる。どんな理不尽なことでもご主人様の意向に逆らえば、狭い日本だから逃げるところはない。そして学者も、専門家も、政府すらひれ伏している。
日本人こそ武士であって欲しい。
おわり