【地球温暖化をデザインにどのように活かすか?】
さて、地球温暖化には多くの「裏、ウソ、行き掛かり」があることが判った。私たちの環境はかけがえのないものであり、政治家のメンツなどで左右されてはいけない。そこで、私たちのデザインと地球環境というものを考えてみたい。
よほどの名作でない限りデザインは100年保たない。そしてこの100年は「やや温暖化する時代」であろう。その時代には次のようなことが予想される。
1) やや気温が高めである。
2) 従って、米や野菜が不作になる可能性は低い。
3) やや南洋性の気候になるので、雨が激しくなる。
4) 北国では雪が少なく、作物ができるようになる。
5) 石油が安く手に入る間は都市のエアコン化が進み、人工的なヒートアイランド現象が加速されるが、石油が枯渇するか高騰すれば急激にエアコンは減る。
まず、第一の注意は「気温が高い時期が長くは続かない」ということである。まず、今は地球が温暖化した、最近はどうも雪が少なくなった、と言っているが、昨年は豪雪だった。そしてわずか30年前は「これからは寒冷化の時代になる」と騒がれていた。
若い学生にとっては自分が生まれた年のあたりだから理解できないかも知れないが、私の若い頃は「寒冷化する」と言われていたのである。
上のグラフを見ると、全体としては気温が上がっているが、1940年から1970年のところをよく見ると下がっている。30年というと人生にとっては長い時間で、この間に生きている人は「地球は寒くなっている」と感じても不思議ではない。
学生がデザインするものは30年間ぐらい評価されて欲しい。自分が若い頃、デザインしたものが20年でダメになると辛い。「あいつは何を考えていたのだろう?」と言われるからである。
その頃には「地球が温暖化する」と騒いでいたマスコミも、政府も、専門家もいなくなっているのにデザインだけは残っているからである。そういうのを「はしごを外される」と言う。誰かがはしごを掛けてくれたのでうっかり二階に昇って仕事をしているといつの間にか誰もいなくなる。
環境問題ではしごを外されないようにしよう!
石油も枯渇してきてガソリンはすでに100円から150円になった。市況というものがあるからまた少し下がる可能性もあるが、基本的には上がるばかりである。石油の枯渇はこの社会を大きく変える。
その時期がいつ頃かというのが問題だが、次のグラフを見る限り、どうも2010-2020年ぐらいと考えられるので、これからのデザインは常に「石油」を良く睨んでおく必要がある。
クルマのデザインも一気に変わるだろう。石油が無くなりガソリンがリットル500円になるとクルマを見る目も変わってくるからである。
それは「自然に帰りたい。日本の自然を活かしたい」ということになり、住宅では「密閉型住宅」「全室冷暖房」が過去のものになり、中庭から裏庭に風通しのよい住宅デザインがもてはやされるだろう。
一方では異常気象というのは続く。続くのは、
1) 本当に気候が異常になる。
2) 世界中の情報が瞬時に手に入るので、異常が多くなる。
という二つが原因している。
これまでは陸上の土地は土で覆われ、森が多かった。海は綺麗で油が浮いていなかった。それが今では、陸上は森林が減り、コンクリートが増えるので、気温の上下は激しくなり、海には油が浮くので蒸発が間歇(かんけつ)的になる。だから異常気象は続く。気温の上昇もそれに輪を掛けるだろう。
だから、これからは少し無骨で頑丈なデザインが良い。繊細なデザインは受け入れられない。外は激しい雨が降っている時には「嵐が丘」のヒースクリフが魅力的だ。キャサリンが愛するのも判る。
つづく