かつては毎年、8月15日が近づくと終戦記念日がやってきて報道は特集番組を組む。それがいわば慣例になっていた。最近ではそれに9.11が加わり、8月後半から9月前半はきな臭い話題がテレビをにぎわす。
ところで9月11日にアルカイーダが計画したと言われる複数の航空機のハイジャックとビルへの突撃は、それがテレビ画面を通じて全世界に配信されたこともあって、先進国の人は大きな衝撃を受けた。
事件後、しばらくして計画をした「頭目」は「ビンラディン」であるとされ、その人がアフガニスタンにいると報道された。当時、タリバンが政権を握っていたアフガニスタンに対してアメリカが外交でビンラディンさんの引き渡しを求めたのかどうかは不明である。
通常、どこかの国で「法律違反」をした人を逮捕する場合、「犯人」のいる国に対して身柄の引き渡しを求める。日本の沖縄で悪いことをしたアメリカ兵でも本国に逃げ込んだら、日本ができることはアメリカにその兵士の身柄の引き渡しを求めるだけである。それが国際慣行だ。
でもアメリカはビンラディンがいると思われたアフガニスタンを攻撃した。国際派や平和主義の日本人も、一部の人はアメリカのアフガニスタン攻撃を支持した。私はアメリカがアフガニスタンを攻撃する理由を見いだすことはできない。
「力の強いものが正しい」というのは平和主義ではない。
アフガニスタンを制圧したアメリカは勢い余ってイラクのフセイン政権の打倒のためにイラクに侵攻した。明白な侵略戦争としては久々ではないかと思う。国連の安保理はイラク侵攻を認めなかったが、アメリカはイギリスやスペインと組んでイラクに侵攻した。
理由は後で付ければよい。この場合は「大量破壊兵器を持っている」という理由だったが、ウソである。ベトナム戦争の時もアメリカ、当時のジョンソン大統領はトンキン湾事件という小競り合いをでっち上げて戦争を始めた。すでに歴史的事実として認められている。
戦争はもともと正義の行為ではなく、「やむを得ず」という行為だから理由がいる。だからその理由がでっち上げられることが多い。イラクでは「大量破壊兵器」というものだったが、それはもともと無かったことをアメリカ自身が知っていたことが明らかになった。
それではブッシュ政権はなぜイラクを攻めたかったのだろうか?たとえば石油が欲しい、アメリカの内部の政治問題を回避したい・・・などと取りざたされている。そして多くの人がイラクで犠牲になった。
日本のマスコミは、ビンラディンを「ビンラディン容疑者」と呼び、ブッシュを「ブッシュ大統領」と呼ぶ。なぜだろうか?
おそらくはブッシュが白人、ビンラディンがアラブ人、ブッシュがアメリカ、ビンラディンがアラブ、ブッシュは力が強い、ビンラディンは力が弱い、ブッシュについているとお金がもらえる、ビンラディンはお金が無い・・・何が本当か判らないけれど、このうちのどれかだろう。
もし平和に対する罪というのが第二次世界大戦の東京裁判で創設された罪なら、ブッシュは絶対に容疑者である。ビンラディンはよくわからないが本人がテロを計画したというならそうかも知れない。
靖国のA級戦犯が「戦争に対する罪」で裁かれたとすれば、ブッシュを大統領と呼ぶのにどういう根拠があるか一度、誰かに伺いたい。
つづく