― 茶髪主義 (3) ―
先回まで、日本の「軍事行動」は3つの期間に分けることができ、第一期は1894年の日清戦争勃発から1905年の日露戦争終結まで、第二期は1910年の韓国併合から1937年の日中戦争、そして第三期が1941年から1945年の太平洋戦争であるとして解説をした。
第一期の1905年までは日本の軍事行動を誰も批判できない。もし、日本が軍事力を強化しなければ白人が日本を植民地にしたのだから完全に正当防衛である。悪いのは白人である。
だから「戦前の日本の軍国主義が悪い」という考えの人も、第一期を分けなければならないし、靖国にはこの第一期に起きた旅順の二○三高地で命を落とした兵士もいることに留意しなければならない。
二○三高地で命を落とした兵士にも不満はあった。喜んで自ら死地に向かった若者だけではない。でも彼らがロシアの機関銃を相手に突撃をしなければ日本は植民地になった。だから、彼らは英霊として尊敬しなければならず、かならず祀らなければならない。
現実に靖国に祀られた戦死者は昭和16年まで約20万人で、戦死者の総数ではない。靖国が抱えるゴチャゴチャした問題で本質が曇らないように、ここでは分けて整理をしていく。
ところで、第一期の評価を終わり、歴史の順番から言うと第二期を検討しなければならないが、第二期がもっとも難しく、議論が分かれるところだから、第三期の結論を出しておいてからにしたい。
第三期は太平洋戦争である。大戦争であり研究も膨大だが、事実は簡単だ。1941年12月に日本がアメリカ、イギリス、オランダに宣戦を布告、中国は日本に宣戦を布告した。それから1945年8月まで約5年にわたって日本はアメリカ、イギリス、そしてオランダの領土に侵入して戦った。
太平洋戦争は日本の「侵略戦争」とされているが、歴史的に確定したものではない。日本が宣戦布告した相手も戦った相手も白人である。戦場はインドシナ、フィリピン、インドネシア、マレー半島であったが、そこに白人がいたからに他ならない。
太平洋戦争で日本がアジアの白人の植民地を攻めた結果、日本が植民地を解放する事になったかも知れない。それなら「侵略戦争」どころか、「解放戦争」である。事実、仮に日本がアメリカやイギリスに勝った場合、東アジアの白人植民地を解放した後、撤兵する可能性もあった。
でもそれは少し日本にとって都合の良すぎる解釈だろう。その鍵は太平洋戦争の直接の引き金になった、当時フランス領だったインドシナ(今のベトナムなど)への日本の駐留という事件があるからだ。
日本軍のインドシナへの駐留は次のように進んだ。
ナチス・ドイツが1940年にフランスを占領してフランスに傀儡政権を作ると、日本はすぐこの傀儡政権と交渉してインドシナの領有権を認めさせる。悪く言えば火事場泥棒というところだが、当時の世界情勢はそんな力ずくの時代でもあった。
インドシナに駐留した日本軍は昔のベトナムの王様を傀儡に立ててインドシナに独立政権を作ったが、これも問題だ。満州国と同じように形はその国の人が王様だが、軍隊からなにから日本が押さえている。今のアフガニスタンやイラクと同じである。
そして、戦後、インドシナは1945年に日本が太平洋戦争に負けると直ちにフランス軍が戻ってきたが、一度、放棄した植民地を保つことはできず、有名なディエンビエンフーの戦いでフランスは敗退、ベトナムは独立する。
このように日本が敗退した後、フィリピンが1946年、インドネシアが1949年、ビルマが1948年、それまで白人の植民地だった国が独立した。日本にその意図があったかどうかは別にして、日本が白人国家に宣戦布告して戦ったことによってアジア諸国の独立に寄与したことも確かである。
結論
1) 日本は当時の白人国家の常識に沿って「強ければ他国を取る」という原則で行動した。
2) 日本だけが侵略したのではなく、宣戦布告したアメリカ、イギリス、オランダと同じ行為だった。
3) アメリカ、イギリス、オランダのアジア諸国への侵略は「侵略戦争」と呼ばれていない。
4) だから太平洋戦争も「侵略戦争」と呼ぶのは適当ではない。
5) 太平洋戦争を「侵略戦争」と呼ぶ人は茶髪主義(白人は有色人種より優れている)である。
6) でも、日本はアジアの国を侵略する意図はあり、「アジアの人のために」とは言っていたが、心の奥では傀儡政権を作り、資源の確保などのために支配するつもりだった。
7) 有色人種の日本が、白色人種の大国を相手に宣戦布告したことがアジア諸国の独立を促進したのは事実である。
私たちは日本人だから、日本にプライドを持ち、日本のしたことをあまり卑下しても仕方がない。どの国でも自分の国のしたことを少しは有利に解釈する。それぐらいは許される。
日本人として評価すると、1941年から1945年の太平洋戦争は、
「大きな歴史の流れから見ると、16世紀から続いた白色人種支配を終わらせる転換点を日本が演じた。」
とすることができるだろう。
現在ではまだ、アメリカとイギリスによるアフガニスタンやイラクの占領が続いているし、ロシアも中央アジアの国が多く独立したが、民族問題を抱えている。国連でも実質的な白人支配は続いているが、これも300年も経てば無くなるだろう。
時間が経ち、歴史から「細かいこと」がとれて、本質だけが見えるようになると、日本がアメリカ、イギリス、オランダと戦った太平洋戦争は「白人支配時代を終わらせるきっかけとなった」と評価されるだろう。
つづく